取引先から「PPAPは受け付けません」と案内が来たり、自社のセキュリティ方針を見直したりして、代わりのファイル送受信ツールを探し始めた——という方は多いのではないでしょうか。ところが実際に調べてみると、大容量ファイル転送、オンラインストレージの共有機能、セキュアファイル送受信サービスと種類が多く、どれも「安全」をうたっていて、違いが分かりにくいのが正直なところだと思います。

ツール選びで失敗しやすいのは、機能の多さや手軽さ、価格だけで横並びに比べてしまうことです。本来は「自社が何を守りたいのか」を軸に、いくつかの決まった観点で見比べると、判断がぶれにくくなります。

この記事では、脱PPAPの手段を選ぶときの比較観点を5つに整理し、そのままチェックリストとして使える形にまとめます。特定の製品をすすめるより、選び方の物差しを持ってもらうことを狙いにしています。

この記事でわかること

  • 脱PPAPの代替手段にはどんなカテゴリがあるか
  • ツールを比較するときに見るべき5つの観点
  • 選定でつまずきやすい落とし穴と、自社要件の優先順位の決め方

脱PPAPの代替手段を大きく整理する

代替手段は、大まかに「大容量ファイル転送」「オンラインストレージの共有機能」「セキュアファイル送受信サービス」の3カテゴリに分けられます。どれもファイルは渡せますが、想定している使い方が違います。

手軽な大容量転送は導入の敷居が低い反面、保存先やログの管理が弱いことがあります。ストレージの共有機能は社内での共同作業を前提にしたものが多く、社外への都度送信には設定が過剰になりがちです。まずは自社の主な用途が「社外への都度送信」なのか「継続的な共有」なのかを見極めるのが出発点になります。背景の整理は脱PPAPガイドもあわせてご覧ください。

選定でぶれない5つの観点

用途が定まったら、次の5つの観点で候補を見比べます。①受け渡しの安全性、②誤送信対策、③データ主権(保存先)、④ガバナンス、⑤受信側の体験です。どれか一つが突出していても、他が欠けていると運用でつまずきます。バランスを見ることが大切です。

比較の観点をチェックリストにする

上の5観点を、確認するポイントに落とし込むと次のようになります。候補ごとに「○/△/×」を書き込んでいくと、横並びで比較できます。

観点チェックポイント
①受け渡しの安全性宛先メールにアクセスできることを確認できるか。有効期限やダウンロード回数を制限できるか(用語集
②誤送信対策送信前に宛先やファイルを機械的にチェックできるか。宛先ドメインを制限できるか(用語集
③データ主権ファイルの保存先が国内か海外クラウドか、誰の管理下にあるかが明確か(用語集
④ガバナンス監査ログ、全社ポリシーの強制、IP制限、2要素認証などが備わっているか
⑤受信側の体験相手が登録不要・ブラウザ完結で受け取れるか

よくある落とし穴

  • 機能の多さで選ぶ:使う機能はごく一部ということもあります。自社の用途に沿った観点で絞るほうが失敗しません。
  • 受信側の負担を見落とす:受け取りのたびにアプリ導入や会員登録が必要だと、相手に敬遠され、結局メール添付に戻ってしまいます。
  • 保存先を確認しない:機密情報を海外クラウドに預けることに抵抗のある取引先もいます。どこで保管されるかは事前に確かめておきたい点です。
  • 手軽さだけで選ぶ:無料の転送サービスは便利ですが、監査ログや管理者の統制が残らないと、あとから経緯を追えなくなります。

自社要件の優先順位の決め方

5観点をすべて高いレベルで満たすツールを探すより、「自社では絶対に外せない観点」を2〜3個に絞るほうが現実的です。優先順位は、自社の使い方の棚卸しから決まります。

たとえば、個人情報を含む書類を頻繁に送るなら②誤送信対策と③データ主権の比重が高くなります。ITに不慣れな取引先が多いなら⑤受信側の体験を優先すべきですし、内部統制を重視する組織なら④ガバナンスが外せません。まず「誰が・どんなファイルを・どこへ送っているか」を洗い出し、それに沿って重み付けをすると、候補を絞り込みやすくなります。

この観点で選ぶと候補に入る一例

上の5観点を満たす選択肢の一つが、法人向けセキュアファイル送受信サービスのForceDriveです。ブラウザだけで完結し、相手は登録不要で受け取れます。受け渡しはワンタイムコード・パスワード・公開リンクの3方式から選べ、宛先メールにアクセスできることを確認したうえで渡せます。国内・自社データセンターで運用しており、保存先が明確な点も③の観点に合います。誤送信ブロックや監査ログ、全社ポリシー強制なども備えています。あくまで比較の一例として、チェックリストに当てはめてみてください。

まとめ

脱PPAPのツール選びは、機能や価格の多寡ではなく、「自社が守りたいもの」を軸にした観点で比べると判断がぶれません。受け渡しの安全性・誤送信対策・データ主権・ガバナンス・受信側の体験という5観点をチェックリストにし、外せない項目を2〜3個に絞る——この進め方なら、候補が多くても迷いにくくなります。まずは自社の使い方の棚卸しから始めてみてください。選定にあたって相談したいことがあれば、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。